*プロピーナ(チップ)が破壊するラテンアメリカのエチケット*
日本には馴染みの薄いチップという習慣。
そもそもチップというのは“温まるサービス”に感動した、
心付けのボランティアであって、義務ではないはずです。
中南米で生活を開始するまでは、
日本人としてそのように認識していました。
あいにく小銭の持ち合わせがなく、
仕方無しにレストランを立ち去ろうとするや否や、
あからさまに席の担当店員の態度が豹変する。
中にはチップを払えと店外まで追いかけてくる者まで。
中南米ではこのような事例は枚挙にいとまがありません。
コロンビアではチップが既に、
飲食代金のレシートに10%以上から含まれているなど、
もはやチップの本質からかけ離れています。
例えばチップ産みの親の米国では最低25%~。
本来の飲食代金が非常に高額な国故、
これら含めると一般的なレストランのランチでも、
約30 – 40USD/personで大変な金額に膨れ上ががる。
ウェイター、ウェイトレスのチップの蓄積が、
日本の一般サラリーマンの固定給を上回るのは理解できる気がします。
ピカピカに磨き上げられた白い歯で店内に歓迎してくれる彼ら。
チップがそうさせるのかと、穿った見方も出来てしまう。
本来サービスとはそういう物なのでしょうか??
日本の飲食業で数年働いた経験がありますが、
まずはお客様の為にという考えを徹底していました。
その背後にチップという観念は存在しません。
これら中南米の国において、チップの習慣はオーナに都合の良いものです。
給料が安くチップ抜きではウェイター等は生計が立てられない。
メキシコでは公然とこのようなニュアンスでチップの支払を、
店舗オーナー自ら命じて(懇願)来たことがありました。
給与不足分を“客に”補わせるという発想と日本人のサービス精神の違い。
ここに日本のおもてなしに多くの外国人が感動する理由があるような気がします。